10円硬貨の表面にデザインされている平等院鳳凰堂。記憶を遡る限り初めて訪れたのは2010年で、この時は平成の大修理が行われる前でした。その後、平成の大修理が終わった後の2016年から2018年には平等院鳳凰堂の四季を追いかけて撮影してきました。

平成の大修理前の鳳凰堂

平等院鳳凰堂では2012年9月から2014年9月末にかけて平成の大修理として、屋根の葺き替えや外観の彩色、つまり柱や扉の塗り替え工事が行われました。現在の姿は後述する通り、紅い漆塗りの美しい外観が蘇り、創建当時に最も近い姿に戻されたとされています。

平成修理前の平等院鳳凰堂【撮影日:2010年6月27日】*1

2010年訪問時の、今となっては平成の大修理の貴重な写真です。当時は所有していたカメラが安物だったため、撮影した写真の画質も粗々であることはご容赦ください。また、レンズの焦点距離も約27mmだったため、鳳凰堂の全景を収め切れていません。10円硬貨の表面にデザインされている平等院鳳凰堂を撮影するなら、広角レンズが必要です。さらに撮影した日は曇天で時刻は16:22。この当時は天気や太陽の向きなど全く考えず、ただただ観光していただけでした。

平成修理前の平等院鳳凰堂【撮影日:2010年6月27日】*1

平成の大修理後の鳳凰堂

平成修理後の平等院鳳凰堂【撮影日:2016年4月2日】*2

平成の大修理後の煌びやかな鳳凰堂を撮影したのは2016年の桜の季節に訪問した時でした。焦点距離24mmのレンズで撮影しましたが、それでも収まりきれません。少し下がって撮影したら手前の芝生が映り込んでしまうため、さらなる広角レンズ、20mmや16mmが必要です。
また、阿字池に映る逆さ平等院鳳凰堂を撮影するには風が無い日を選ぶこともポイントです。
加えて、午後からの訪問だと、写真の通り逆光撮影になってしまいました。撮影位置から鳳凰堂を撮影する場合、西に向かって撮影することになります。つまり太陽は撮影地点の背後から上ってきて鳳凰堂の向こう側に沈むことになります。順光で撮影するなら太陽が鳳凰堂の向こう側に行ってしまう前の午前中が勝負です。

しだれ桜越しの鳳凰堂やソメイヨシノ

平等院鳳凰堂

平等院鳳凰堂【撮影日:2016年4月2日】*2

世界遺産 平等院の桜景色は、阿字池の周りに植えられている枝垂れ桜やソメイヨシノを堪能します。京都市内の醍醐寺などに立ち寄った後、宇治へ足を伸ばしてみました。

しだれ桜越しの平等院鳳凰堂

しだれ桜越しの平等院鳳凰堂【撮影日:2016年4月2日】*2

訪問したこの日は、鳳凰堂前の阿字池の左側にある、しだれ桜が見頃でした。しだれ桜越しに鳳凰堂を撮影。しだれ桜は鳳凰堂の正面にも植えられていますが、この時はまだ蕾が目立つ状態でした。そして実際に撮ってみて分かったのですが、正面よりも左側からしだれ桜越しに見る鳳凰堂の方が個人的には好みです。

平等院 鳳凰堂の朱色を背景にソメイヨシノを撮影

平等院 鳳凰堂の朱色を背景にソメイヨシノを撮影【撮影日:2016年4月2日】*2

さらに阿字池を左奥に進み、鳳翔館の入り口付近から、平成の大修理で塗りなおされた後の、朱色を背景にソメイヨシノを撮影。

鳳凰堂の屋根に立つ鳳凰像とソメイヨシノ

鳳凰堂の屋根に立つ鳳凰像とソメイヨシノ【撮影日:2016年4月2日】*2

ミュージアム鳳翔館を通り抜け、鳳凰堂の裏側に回ると、屋根に立つ鳳凰像がソメイヨシノが咲く位置に現れました。

平等院 羅漢堂前のしだれ桜

平等院 羅漢堂前のしだれ桜【撮影日:2016年4月2日】*2

鳳凰堂の真裏にある羅漢堂前にもしだれ桜。

平等院 鳳凰堂とソメイヨシノ

平等院 鳳凰堂とソメイヨシノ【撮影日:2016年4月2日】*2

阿字池をぐるりと1周した終盤地点、鳳凰堂の裏側にもソメイヨシノが満開でした。この辺りは風の影響を受けにくいのか、リフレクションしています。

藤を撮影するなら午前中がおすすめ

桜の季節が終わった4月中旬以降、藤が見頃を迎えます。藤の開花情報は少し予想しにくかったので公式サイトをこまめにチェックして訪問してきました。
平等院正門(表門)の藤棚

平等院正門(表門)の藤棚【撮影日:2018年4月21日】*3

平等院正門(表門)に到着すると、拝観券購入場所の目の前で藤棚がお出迎え。ここはまだ拝観エリア外ですが、この藤の咲き具合を見て、きっと庭園の藤も見頃だと確信します。

平等院庭園の藤棚

平等院庭園の藤棚【撮影日:2018年4月21日】*3

平等院庭園の藤棚は、正門(表門)から入ってすぐに見える観音堂の横にあります。

平等院庭園の藤棚【撮影日:2018年4月21日】*3

平等院の到着は15時過ぎ。少し日が傾いてきてしまいましたが、藤は見頃で、表門前で見た藤より花房が長く垂れ下がっています。

平等院庭園の藤棚

平等院庭園の藤棚【撮影日:2018年4月21日】*3

藤棚をぐるり一周、いろんなアングルで撮影します。

平等院庭園の藤とツツジ

平等院庭園の藤とツツジ【撮影日:2018年4月21日】*3

ツツジとも一緒に撮影。

平等院鳳凰堂と藤

平等院鳳凰堂と藤【撮影日:2018年4月21日】*3

最終的に落ち着いたのはこのアングル。鳳凰堂と藤を一緒に撮影できる唯一のポイントです。ただし、この撮影ポイントは、南西に向かって撮影することになるので、午後になると陰が出来てしまいます。もちろん、カメラの設定で露出やホワイトバランスなどを調整すれば、その場の雰囲気にあった写真を撮影することもできますが、鳳凰堂も東を向いていますので、順光になる午前中がおすすめです。また、鳳凰堂と藤棚の間は庭園内の通路になっているため、多くの人が行き交います。つまり、平等院で藤を撮影するなら、午前中の観光客の少ない時間帯に行くのが良さそうです。

新緑映えする平等院 鳳凰堂

平等院 新緑の鳳凰堂

平等院 新緑の鳳凰堂【撮影日:2018年4月21日】*3

新緑と言えば5月のイメージが強いですが、撮影したのは4月21日。藤の撮影日と同じ日で、既に新緑が始まっていました。この日も風が吹いていましたので、逆さ鳳凰堂は撮影できませんでしたが、朱色と緑のコントラストが映えます。こちらも順光撮影ができていれば、もっと映えた写真が撮影できていたことでしょう。

開催日限定の紅葉ライトアップ。現在は事前予約制に

平等院の夜間特別拝観 紅葉ライトアップは開催日が限定されています。訪問した2017年当時は、11月18日(土)19日(日)23日(祝)24日(金)25日(土)26日(日)12月1日(金)2日(土)3日(日)の計9日間の開催で事前予約は不要でした。2022年以降は完全予約制になっており、開催日は土日を中心に年によって異なります。予約制の導入に伴ってか夜間特別拝観の拝観料は爆上がり。2017年当時は大人1名600円でしたが、2024年は大人1名1500円になっています。

平等院鳳凰堂 ライトアップ開始を待つ行列

平等院鳳凰堂 ライトアップ開始を待つ行列【撮影日:2017年11月25日】*2

平等院に到着したのが17時20分頃。18時の開園を前に、すでに行列が出来上がっていました。混雑を避けるため、できれば平日に行きたかったのですが、紅葉ピークを迎える土曜日の夜という一番混雑する日に突撃してきました。スターバックスの前あたりから並ぶこと約1時間。

平等院 紅葉ライトアップ 阿字池に逆さ鳳凰堂がリフレクション

平等院 紅葉ライトアップ 阿字池に逆さ鳳凰堂がリフレクション【撮影日:2017年11月25日】*2

この日は風が無く、ピタリと止まった阿字池の水に、逆さ鳳凰堂がきれいにリフレクション。当然ながら三脚禁止で手持ち撮影です。

平等院 紅葉ライトアップ 阿字池に逆さ鳳凰堂がリフレクション

平等院 紅葉ライトアップ 阿字池に逆さ鳳凰堂がリフレクション【撮影日:2017年11月25日】*2

撮影データ(Exif情報)を確認するとISO 1600 F値3.5 シャッタースピード1/5秒。
ライトアップが明るすぎて露出は-1で撮影していました。ちなみにこの位置がもっとも混雑していました。

平等院鳳凰堂 暗闇と池に浮かぶ赤く燃える紅葉も圧巻

平等院鳳凰堂 暗闇と池に浮かぶ赤く燃える紅葉も圧巻【撮影日:2017年11月25日】*2

少し左に目を向け、池の向こうを撮影すると、暗闇と池に浮かぶ赤く燃える紅葉も圧巻でした。

平等院 紅葉ライトアップ 阿字池に逆さ鳳凰堂がリフレクション

平等院鳳凰堂【撮影日:2017年11月25日】*2

少しでも光を取り入れようとF値開放で撮影するか、絞って光芒を作るか迷います。

平等院 紅葉ライトアップ 阿字池に逆さ鳳凰堂がリフレクション

平等院 紅葉ライトアップ 阿字池に逆さ鳳凰堂がリフレクション【撮影日:2017年11月25日】*2

手持ち撮影でもこれだけくっきりリフレクションしてくれました。

平等院 秋の特別拝観 紅葉ライトアップ

平等院 秋の特別拝観 紅葉ライトアップ【撮影日:2017年11月25日】*2

ここでは少し池が波打ってました。

平等院 秋の特別拝観 紅葉ライトアップ

平等院 秋の特別拝観 紅葉ライトアップ【撮影日:2017年11月25日】*2

どこを撮ってもリフレクション。撮れ高の多い夜の特別拝観でした。

撮影カメラ/レンズ

*1 カメラ:FUJIFILM FinePix S8100fd(レンズ一体型)で撮影

*2 カメラ:SONY α7(ILCE-7) レンズ:SEL24240 FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS の組み合わせで撮影

*3 カメラ:SONY α7III(ILCE-7M3) レンズ:SEL24240 FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS の組み合わせで撮影

平等院へのアクセス


平等院への行き方は、JR奈良線宇治駅、京阪宇治線宇治駅どちらからも徒歩約10分の場所にあります。
京都駅や奈良駅から向かう場合はJRで、大阪淀屋橋や枚方、京都三条や出町柳から向かう場合は京阪本線を利用して中書島駅で乗り換えになります。

車の場合、京滋バイパス利用だと、大山崎や久御山方面からは宇治西ICが、石山や瀬田方面からは宇治東ICが最寄りになります。方面によって利用できるICが異なりますので注意が必要です。京都市内からはスタート地点にもよりますが、おおむね高速道路を利用しなくても国道24号線等で向かう方が距離的に近いです。
駐車場は、平等院の南門まで徒歩1分の宇治駐車場が広くて便利ですが、宇治駐車場の営業開始は、平等院の開門時間と同じ8時30分。開門直後の誰も居ない庭園で桜の写真や、鳳凰堂と藤の写真を撮りたい場合は、電車で行くか、車で行くなら周辺のコインパーキングを利用した方が良さそうです。

ライトアップは開園前に長蛇の列を作ります。付近の駐車場も混雑しますので、日中余裕をもって訪問するか、ライトアップの時間帯ギリギリになる電車で行くと安心です。