特殊な気象条件、地形、植生が揃うことで形成される樹氷。世界的にも珍しい冬の絶景は、日本でも限られた場所でしか見ることができません。その中でも最も有名であろう樹氷スポット、蔵王に行ってきました。場所は、宮城県と山形県にまたがる蔵王連峰に位置します。ここで1月下旬~2月にかけて見ることができる蔵王樹氷は、宮城側と山形側のそれぞれの“蔵王”で見ることができますが、今回行ってきたのは山形側の蔵王樹氷です。なお、移動手段はマイカーです。もちろんスタッドレスタイヤ付き。
2月の祝日「建国記念の日」が土日と繋がってできた3連休を利用して、1日目と3日目はほぼ移動。樹氷鑑賞&撮影は3連休の中日に狙いを定めることにしたのですが、考えることは皆同じですね。ロープウェイ乗り場までの道のりや駐車場を運よく確保できたことについては、後述しますが、ロープウェイ乗り場に到着して見た景色が長蛇の列でした。
ロープウェイから撮影した蔵王 樹氷(スノーモンスター)
60分ほどの待ち時間でようやくロープウェイに乗車。
進行方向を向くと、樹氷がお出迎え。もはや既に絶景。
樹氷群の上をロープウェイが進みます。
ロープウェイを支える鉄塔もスノーモンスター化。
蔵王ロープウェイ 地蔵山頂駅に到着。雪が固まってへばり付いています。
蔵王ロープウェイ地蔵山頂駅周辺で撮影した樹氷(スノーモンスター)
地蔵山頂駅の駅舎から一歩外に出ると、そこは360°樹氷に囲まれた樹氷原。
どこから攻めたら良いのか迷うほどで、まずは巨大なスノーモンスターを間近で撮影。
奥へと進むうちに風が吹いてきて雪が舞い、あたりは真っ白。先ほどまで目の前に広がっていた樹氷群は見えなくなり、ホワイトアウト状態に。
これは決して白い写真を撮影したわけではありません。これでも見えてる方です。
待ってると少し視界が広げてきました。
真っ白な樹氷の世界は、眩しくてゴーグルが必要です。
太陽の当たり方や雲の出方によって、その瞬間ごとに姿を変える樹氷群。
このあたりの樹氷群は中を歩くことができます。人と対比することで、スノーモンスターの大きさが分かります。
手前だけが明るく照らされたスノーモンスター。
奥に広がる樹氷群。この奥へは誰も立ち入ることができない、誰の手も加えられていない、まさに自然が生み出した幻想的な絶景でした。
山形蔵王樹氷へのアクセス
山形側の蔵王樹氷を見るためには、移動手段は車かバスのどちらかになり、出発地点によっていろんな方法がありますが、とにもかくにも蔵王ロープウェイ 蔵王山麓駅を目指す必要があります。特に混雑する休日は、午前のできるだけ早い時間帯に。
私の場合、3連休の初日に米沢市で宿泊した後、2日目の朝蔵王ロープウェイの蔵王山麓駅に到着したのが9時半頃。しかし時既に遅し、ロープウェイの乗り場に近付くにつれ渋滞が発生。蔵王ロープウェイ 蔵王山麓駅付近には、横倉第1・第2・第3駐車場(計200台)や、蔵王中央ロープウェイ第1・第2駐車場(計150台)等がありますが、これらはすでに満車でした。今日の樹氷は諦め、翌日のリトライも頭をよぎる中、渋滞にはまっていた時に、偶然見かけた駐車場へ、一縷の望みをかけて行ってみると、運よく滑り込みで駐車できました。あとで調べると、駐車したのは大森駐車場で収容台数は600台もあるのですが、もう残りわずかでした。
大森駐車場から蔵王ロープウェイの蔵王山麓駅へは、シャトルバスが出ていましたが、1時間に1本しかなく、しかも出たばかり。歩いて行く方が早く着きそうなので、約1.6km、通常であれば25分ほどの道のりも、雪道なので40分ほどかかったでしょうか。
蔵王ロープウェイの蔵王山麓駅からは、樹氷高原駅でロープウェイを乗り換えて、地蔵山頂駅に到着してようやく360°見渡す限り樹氷の世界に降り立ちます。
実際に行ってみて分かったことですが、この時期の蔵王へは、樹氷目的だけでなく、スキー&スノボ目的でも多くの人が訪れています。(スキーもスノボもやらないので、これは盲点でした。)
ロープウェイから見ても、多くのスキーヤー&スノーボーダーが滑走しています。
スキーヤーやスノーボーダーは、ロープウェイを諦めてリフトに回っていたようですが、彼らも車で来ているわけですから、必然的に駐車場も早く埋まっていくということになります。
樹氷の見頃は?
例年であれば樹氷の見頃は1月下旬から2月下旬頃。あまり早く行き過ぎると、樹氷が成長しきっておらず迫力に欠けた状態になりますが、温暖化の影響により年を追うごとに短縮傾向にあるとのこと。2024年の場合、2月の中旬頃に気温が上昇したことで、アオモリトドマツに付着した雪氷が解け、木の幹があらわになっている、つまり樹氷が消滅してしまったとの残念なニュースが届いてきました。
一方でコロナ明けで観光客も押し寄せています。ロープウェイという定員が限られた移動手段で、移動時間も決まっているため、運べる観光客の数が必然的に決まってしまいます。実際に行ってみて、ロープウェイの待ち時間が90分以上だったとしても待てれば良い方で、ロープウェイのキャパシティをオーバーしてしまうと、せっかく蔵王まで行っても、樹氷に辿り着けないケースも発生している模様です。
今後、樹氷を見れる期間が短くなれば、ますます観光客が集中してしまうのでしょうか。